
企業の防災担当者の皆様に向け、日々の備えや災害発生時の対応に役立つ情報を発信しております。従業者の安全確保と事業継続(BCP)の観点から、貴社の防災対策の一助となれば幸いです。
過去30年に発生した大規模地震災害
近年は震度6強以上の大規模地震が頻発しています。特定地域に偏らず全国どこでも大規模地震発生の可能性があることを示しています。※マグニチュード6.7以上、震度6強以上の大地震を記載。

大規模地震の発生リスクが高まっています。
政府の地震調査委員会は2025年9月、南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率を「60%〜90%以上」へと引き上げ、警戒を呼びかけています。
2024年8月には日向灘を震源とする地震に伴い、史上初となる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。大規模地震は、もはや「いつ起きてもおかしくない」
フェーズに入っています。貴社の防災体制は、この現実に即したものとなっているでしょうか。
南海トラフ想定震源地

広範囲におよぶ震度6弱〜7の揺れ、そして太平洋沿岸を襲う30m超の巨大津波。南海トラフ地震は、日本の広域に未曾有の被害を及ぼすと想定されています。
特に「半割れ」による時間差発生のリスクも考慮すると、一度の備えでは不十分かもしれません。災害リスクが現実味を帯びる中、大切な従業者の安全を確保し、事業継続を図るための「防災備蓄」は、今や企業にとって不可欠な投資となっています。
もしも、大規模地震が社会活動の多い日中に発生したら・・・
通勤・通学や外出者が多い日中に大規模地震が発生した場合、以下のような深刻な被害が想定されます。

大量の帰宅困難者の発生
鉄道やバスなどの公共交通機関が麻痺し、多くの人が移動手段を失います。道路被害による深刻な渋滞も重なり、物理的に帰宅が困難な状況に陥ります。

帰宅途上の二次被害リスク
無理に帰宅を試みることで、余震による転倒や飛来落下物による負傷リスクが高まります。また、火災の延焼に巻き込まれる危険もあり、外出そのものが命の危険に直結します。
大規模災害から従業者と会社をどう守りますか?
内閣府(防災担当)のガイドラインでは、発災時の一斉帰宅による混乱を防ぎ、二次被害を最小限に抑えるため、企業に対し以下の対策を強く求めています。

直ぐに帰宅させない!二次被害の防止

災害発生から救助活動が落ち着くまでの「3日間」は、従業者を施設内に安全に留まらせることが、企業の「安全配慮義務」の一環として重視されています。従業者の命と会社の信頼を守るため、今一度、備蓄計画を見直してみませんか。
労働契約法第5条:企業が従業者の安全と健康に配慮すること
労働安全衛生法第3条第1項:企業は労災を防ぎ従業者の安全を確保しなければならない
命を守る3日間(72時間)の備え
災害発生時は、電気・水道・ガスといったライフラインの供給も寸断されます。停電によるシステム停止や断水による衛生環境の悪化など、これらインフラの停止は事業継続を揺るがす重大なリスクとなります。

停電

製造ラインの停止、パソコンなどOA機器使用不可。防犯面のリスク増大など事業継続が困難になります。
断水

既存の水洗トイレが使用不可になります。女性特有の衛生管理は必須です。対応を怠ると命に関わる健康リスクに直結します。
人の集中で発生する過酷な避難所生活

「いざとなったら避難所へ」という考えは、企業にとって大きなリスクを伴います。自治体の備蓄物資は住民分を確保するのが精一杯であり、企業がそこに頼ることは現実的ではありません。
企業から多くの人が避難所に殺到すると、直ぐに物資不足に陥ります。水やトイレの不足により劣悪な衛生環境や二次被害を招く恐れもあります。従業者を過酷な環境にさらさないためにも、自社内で完結できる備蓄体制の構築が不可欠です。
災害後3日間は「人命救助優先」で支援物資は届きません。

災害後3日間は人命救助優先のため支援物資到着は3日目以降になると想定されています。過去に起きた災害では道路などインフラが妨げられ支援物資が届くまで多くの時間がかかり、現地の水・食料・トイレ用品などの生活必需品が不足する深刻な現実がありました。
大規模災害時は、行政備蓄だけでは直ぐに供給限界に達します。
企業による防災体制の強化など官民一体の備えが重要です。
最低3日分の備えを!企業備蓄の重要性

行政による支援物資の供給は、発災から4日目以降になるのが一般的です。物資が届くまでの「空白の72時間」、従業員が安全に施設内で待機・避難できるよう、企業には最低3日分の備蓄が求められています。
従業者1人あたりに必要な水・食料の目安
【飲料水】
必要水分量は年齢や体重で変動します。例えば、体重60kgの方であれば、25歳で約2.6L、60歳で約1.8Lが目安となります。
個人差はありますが、企業備蓄としては管理のしやすさも含め、1人につき「1日2L〜3L」を確保することをおすすめします。
【食料】
成人男性で2,000〜2,400kcal、女性で1,400〜2,000kcalが1日の摂取目安です。災害時はストレスや
活動内容により必要エネルギーが増えることも想定されるため、上記のカロリーを十分に補えるボリュームの食料を準備しましょう。
人が水なしで生きていける期間は3~5日といわれています。
夏場の高温環境で一滴の水も口にせず過ごす事を想像してください。
「水・食料」と並ぶ最優先課題:トイレ対策の重要性
災害時、最も早期に、かつ頻繁に直面する課題が「トイレ」です。
【我慢できない生理現象】
成人は1日平均5〜7回の排泄を行います。トイレを我慢することで水分摂取を控えるようになり、エコノミークラス症候群や脱水症状を引き起こすリスクが高まります。
【衛生環境の維持】
「凝固剤」や「汚物袋」による適切な処理は、社内の衛生環境を保ち、感染症の蔓延を防ぐために不可欠です。
【プライバシーの保護】
壁の破損等に備えた「トイレ用テント」の準備は、従業者の精神的なストレスを軽減し、安心感を与えます。
備蓄計画において、トイレ対策を後回しにすることはできません。従業者の健康と尊厳を守るため、確実な備えを進めましょう。
企業が担う一次避難所としての役割

企業内に一次避難することで従業者の安全確保だけでなく、災害後の事業復旧に向けた人手を確保することも可能です。企業の備えが、避難・安全確保・事業復旧を支える防災効果を生み出します。

企業に十分な備えがあれば、従業者だけでなく避難所で過酷な生活を過ごす近隣住民の受け入れも可能になります。災害時、企業の一次避難所としての役割が非常に重要です。
段階的備蓄で強固な防災体制の構築へ

防災備蓄は、一度にすべてを完璧に揃える必要はありません。予算や保管スペースの制約がある中で、「する」か「しない」かの二択で悩むのではなく、優先順位に基づいた段階的な導入を検討してください。
例えば、初年度は最も切実な「トイレ・水」から着手し、次年度に「食事」、その次に「休息環境・プライバシー対策」といったように項目を分けて進めることで、予算計画に合わせた無理のない体制構築が可能です。
自社にとってのリスクを整理し、重要なものから着実に積み上げていく。その一歩一歩が、何にも代えがたい「従業者の命と会社の未来」を守る強固な盾となります。
主な防災・備蓄用品項目
【命を守る食事対策】
生きるために最も必要な水と食事。大切な従業者の命を守るため、内閣府がガイドラインに定める3日分の備蓄は最低限ご準備ください。
【避難生活を守るトイレ対策】
生理現象であるトイレは我慢できません。食事と同様に3日分の備蓄は最低限ご準備ください。
※1人あたりのトイレ回数は1日平均5-7回と言われています。
水なしでトイレができる「凝固剤」「処理袋」、トイレのプライバシーを保つ「トイレ用テント」など、想定される状況に合わせてご準備ください。
【休息・プライバシー対策】
会社に一次避難する際はベッドなどの寝床やプライベート空間の確保が必要となります。寒さ対策の毛布などは避難環境を整えるために欠かせません。
【停電・防犯対策】
防犯・安全・復旧作業のために灯りは必要です。停電時の電力確保手段として発電機の導入を推奨します。防犯照明は電源を必要としないバッテリータイプが緊急時に適しています。
【事業資産を守る水害対策】
近年、集中豪雨・台風による浸水被害が全国で多発しています。ハザードマップで浸水の可能性が高いエリアでは、事業資産を守るためにも先ず水害対策をご検討ください。
【逃げ遅れを防ぐ津波対策】
巨大地震による津波が発生した場合、沿岸部到達まで数分程の地域が多く存在します。避難が難しい場合も安心の浮遊式シェルターをご検討ください。
お客様の地域・組織特性に応じた備蓄防災のご相談
何からどれくらい備えれば良いか分からない
「具体的に何を、どの程度の分量用意すべきか」という基準は、従業員数やオフィスの立地、事業特性によって大きく異なります。私たちは、企業の皆様が直面するこうした課題に対し、最適な非常食の選定から保存水の管理、さらには実効性の高い防災用品の導入に至るまで、専門的な知見に基づいた包括的なコンサルティングとご提案をさせていただきます。貴社の安全と安心を守るパートナーとして、まずは現在のお悩みをお聞かせください。
よくいただく質問をご紹介いたします。
Q:非常食の保管場所で注意することはありますか?
A:一般的な非常食・保存水は常温(15~35℃)での保管が原則です。高温になる場所で保管される場合、耐温度が高いものを選択する必要があります。
Q:他企業では非常食の期限管理をどうやって対応していますか?
A:担当部署にて期限管理をされている場合もありますが、近年は期限管理サービスも普及しており、管理を委託している企業もあります。
Q:他企業では、期限が近い非常食の処分をどうされていますか?
A:社内の防災訓練に使用したり、従業員の試食にしたり様々です。地域の避難施設(学校)などに短期備蓄用として寄付されるケースもあります。
企業備蓄の連携支援による新たな仕組み

「守る」が「助ける」に変わる。企業と地域を結ぶ新たな防災インフラの構築へ。
大規模災害が頻発している日本において、現在の行政備蓄には限界があります。強固な防災体制を築くために必要なのは、想いではなく仕組みです。私たちは、企業の「自衛」を社会の「希望」に変える新たな仕組み【災害支援ネットワーク】を構築しています。

STEP1
企業の備えが、すべての始まり
企業が大切な従業者とその家族を守るために必要な物資を備蓄することから、すべては始まります。
不測の事態に備えることは企業の安全配慮義務であり、同時に「地域を守る第一歩」になります。
先んじて行動する企業こそが、不確実性の高い時代において信頼と安心を生み出す存在となります。


STEP2
備蓄企業が地域を助ける拠点になる
備蓄企業が増えることで、物資が不足する避難所へ迅速な支援が可能になります。企業の備えは従業者だけでなく、地域の命を助ける備蓄になるのです。
「自社を守る備え」から「地域を支える力」へ。
企業が地域防災の一翼を担うことで、持続可能で実効性のある共助体制が構築されます。これまでにない連携のかたちが、いま、企業の判断と行動によって現実のものとなります。


STEP3
全国に広がれば日本の防災体制が変わる
災害支援ネットワークが全国に広がれば、大規模災害発生時にも大量の物資を支援できる体制が整います。それは一企業の社会貢献を超え、「民間が支える新しい防災インフラ」となります。
行政備蓄の不足を民間の備えが補完することで日本全体の防災力が着実に底上げされます。
企業が繋がることで、社会はもっと強くなれるのです。
新たな防災のスタンダードを共に創り上げていきましょう。
企業の備えが、社会を照らす希望となる
「災害支援ネットワーク」が目指すものは、単なる物品の備蓄活動に留まりません。
それは、「従業者の生命を等しく守る」「地域社会の存続を支える」「日本全体の防災力を強固に高める」という三層の理念が共鳴し、広がり続ける支援の連鎖です。
「備え」を実践する企業が広がることは、すなわち、非常時に救われる命の総数が増えることを意味します。これは、現代の企業が担うべき、最も意義深い社会的責務の一つであると確信しております。
企業の皆様。次世代へと繋ぐ、より安全で安心できる社会を共に築き上げるために。
「災害支援ネットワーク」への参画を、何卒前向きにご検討いただけますようお願い申し上げます。
